【読書記録】資本主義の預言者たち

 今回取り上げるのはこの本。

 

 この本は2009年に出版された『恐怖の黙示録ー資本主義は生き残ることができるのか』に加筆・修正したもの。2008年のリーマンショックを受けて、19世紀〜20世紀にかけて活躍した5人の経済学者の見解を振り返りつつ、これからの資本主義はどうあるべきかを考える内容となっている。ただし、この本の中心テーマは”経済思想”の振り返りであって、具体的な解決策を提案するものではない。したがって、これから書くことにグラフやデータは出てこないし、わりと抽象的な話になると思う。

出発点

 人は意見を発表するとき、必ず理論を組み立てる。僕にとっては、卒業研究が持論を発表する大きな機会となるわけだけど、卒業研究をするキッカケや動機といったものに「ヴィジョン」が深く関わってくる。「ヴィジョン」とは、理論の前提や基盤となるもののことで、それは日常生活のなかで得られる知識や経験を通じて形成される。「机上の空論」という言葉があるとおり、理論を組み立てる上で、日々の実践から得た経験は欠かせないものなのだ。

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